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カメラは昨日話を聞いたおじいさんを捉えている。
雄一が畑に向かうおじいさんの背中を追いかけた。
「すみません!」

「おやぁ? 昨日の子らぁじゃないかぁ。まだここにいたのかぁ?」
おじいさんは振り向いて肩に担いでいたクワを地面におろした。
「しつこくてすみません。今日もお話を聞きたいんですけど、いいですか?」

「そりゃあ構わんが、お前らも暇じゃなぁ。こんな、なぁんもない町におってもすることなかろうがぁ」
「そんなことはないです。今日もいまよい村について調べているんです」
「いまよい村なぁ。昨日の話で少しはなんかわかったんかぁ?」

「お陰様で、少しずつ前進していると思います」
「そぉかぁ。ほんなら、こんなじじぃの無駄話も役立ったんじゃなぁ」
おじいさんは豪快に口を開けて笑った。