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真っ暗な画面に光が差し込み、達也の顔が写った。
「よし、録画開始っと。今3人でコンビニから出てきたところです。会計は夏美ちゃんにしてもらいました。あ、金はちゃんと男が出して、夏美ちゃんには店員とのやりとりをしてもらったっていう意味です」

慌てて説明を付け加える達也に雄一が笑う。
「達也って説明下手だな」
「なんだよ、ちょっとミスっただけだろ? さて、レジで会計してみてどうだった?」
緊張して顔がこわばっている夏美が映し出される。

夏美の右手にはコンビニの袋が握られていた。
「き、緊張して、手に汗かいちゃった」
震える右手をカメラに向ける。
手のひらがしっとりと濡れていて、まだ小刻みに震えている。

「頑張ったな」
雄一が夏美の肩にそっと手を乗せた。
「やっぱり、家族や唯一以外の人と接するのは苦手ですか?」

「はい……外に出ないと、他の人と関わることもなくて、どう接すればいいか、わからなくなってきて……」

「そっかぁ。でも俺にはちょっと慣れてくれたよな?」
「達也と会うのは2度めだし、雄一の友達だから、安心感があります」