『それでも私は一生懸命だったんだよ。みんなに追いつこうと、必死だった』
「わかるよ。俺だって近くで夏美の頑張りを見てきたんだから」

『雄一に私の気持ちがわかるわけない! なんでもそつなくこなして頭もよくて信頼もあって……そんな雄一にわかったようなこと言われたくない!』
夏美の怒鳴り声に雄一が言葉をつまらせる。

『雄一、私の居場所はここなんだよ。それをわかって?』
「そんな……待ってくれ夏美!」
『電話してるのがバレたら本当にイケニエにされちゃう。じゃあね雄一』

ブツンッと通話が途切れ、その後何度夏美に電話をかけても通じることはなかったのだった。