その言葉に夏美が一瞬カメラから視線を外した。
そして笑顔を向ける。
『大丈夫だよ雄一。その必要はないの』

「え？」
『私、この村だったら普通に生活していけると思う。昨日１日泊まっただけだけど、そう確信してるの』
「何言ってるんだ夏美。その村は自殺志願者たちでできてるんだぞ！」

『……もう、そこまで知ってるんだね。そうだよ、雄一が言う通り。だからこそ、互いの気持ちを尊重しあって支え合って生活できるの。誰かが誰かを陥れたりイジメたり、そういうの、全然ないんだよ』

「夏美、目を覚ましてくれ！　そいつらは村を存続させるためにイケニエを出してるんだ！　下手をすれば夏美も犠牲になるんだぞ！」
雄一の言葉に夏美が楽しげに笑った。

『本当にすごいね雄一は、イケニエのことまで知ってるなんて。最初いまよい村に興味を持ったのは私なのに、全然ダメだね。私やっぱりトロイからみんなからイジメられちゃったのかなぁ』

夏美の声が小刻みにふるえて、涙が溢れ出す。
「夏美、大丈夫か夏美！？」