私と里歩先輩が連絡を取り合うようになったのは、互いに花を手向けた日からだった。
私の話を全部信じてくれたとは思えないけれど、一応は信用してくれたみたいだ。

「で、次の雨を待ってるってこと?」
事情を説明すると希が呆れ顔になってポッキーを食べた。
今日もとてもいい天気で、教室の外に見える空はよく晴れている。

あれ以来伊賀さんの姿も見ていない。
「だって、雨の日じゃないと伊賀さん出てこないんだもん」
雨と共に現れて晴れると同時に消える。

伊賀さんはそういう存在だった。
そして互いに波長が合わなければ認識し合うこともできない、なんとも儚い存在。
「いいの? 伊賀さんのこと好きなんでしょう?」