「 翔、どうやって会社の中に入ってきたんだよ……。 」
取り巻きの男たちの話など完全無視で、俺のネクタイを直し始めてしまった翔に尋ねると、翔はニコッと笑う。
「 普通に受付の女性に頼んだら通してくれたけど?
それに俺、この会社にも融資しているからさ、そもそも出入りなんて自由でしょ?
本当は潰しちゃいたいんだけどな~。
そしたら源は失業して、家にいてくれるし。 」
「 …………。 」
とんでもない事を言い出す翔に青ざめていると、突然バタバタバタ~!!と部署内に誰かが駆け込んできた。
「 こ、こ、これはこれは空野様ぁぁぁぁぁ!!!
大変お世話になっておりますぅぅぅ~!! 」
バッ!!と頭を深々と下げる社長を見て、一瞬で空気を呼んだ蝶野さんと取り巻き以外の社員たちは、同じく頭を下げる。
それを見て翔はうっすら笑みを浮かべながら「 楽にしていいよ。 」と伝え、それに伴って全員が頭を上げた。
「 今日は源に忘れ物届けにきただけだから。 」
「 さ、左様でございますか~!
ええ~と……そちらの源様は、空野様の御親戚か何かだったのですか? 」
ダラダラと汗を流しながらそう尋ねる社長。
この時点で多分全員翔が偉い人だと思った様だ。
取り巻きの男たちは、青を通り越して真っ白になり、勢いをすっかりなくしていたが────蝶野さんは翔の事を勿論知っているので、パァァァ!と嬉しそうに目を輝かせる。
” 会えて嬉しい! ”
そう全身で表現すふ蝶野さんに多少呆れながら、誤解を解くため説明を始めた。
「 いえ、親戚ではなくて……幼馴染で今はルームシェアしています。 」
「 ────へっ?? 」
「 はっ?? 」
アズマと和恵がクエスチョンマークを浮かべて首を傾げる。
” えっ?彼女と同棲してるんじゃ……? ”
そう雄弁に語る二人には苦笑いを返しておいた。
翔は少しムッ!としたようだが、とりあえずお外用のお澄ましスマイルを浮かべながら、俺の中傷がびっしり書かれた紙を取り出す。
「 ────で?何?これ?
” オジさん相手にパパ活 ” ? ” 男相手に体を売っている ” ?
源はそんな事してないけど。
この会社って随分暇なんだね。 」
翔はその紙を、皆に見せつける様にゆっくり、ゆっくりと破り捨てた。
その紙がパラパラと地面に落下したタイミングを見て……社長が土下座をする。
「 も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!!
全力で犯人を血祭りにあげるのでぇぇぇ~どうかどうかお許しくださ~い!! 」
” 血祭り ” という言葉に取り巻きの男たちは大きく体を震わせたが、翔は彼らの方へ視線を向け、そのままトドメをさす。
「 そうそう、俺さっき君たちが言っていた言葉、よく聞こえなかったんだ。
もう一度同じ事言ってくれる? 」
「 い、いえ……お、俺達は何も────「 早く。 」
言葉を遮って言う翔にビクッ!!とした取り巻きたちは、ボソボソと言葉らしきモノを呟き全員が下を向いた。
翔はニコニコしているが相当怒っている様だ。
昔使いかけの消しゴムを他の子にあげた時と同じ。
その時の凄まじい翔の怒りっぷりを思い出し、ブルっ!と体が震えてしまったが……同時に嬉しくもあった。
翔は俺を信じてくれる。
そして俺のために怒ってくれているから。
しかし────ここで社会人の男としてのプライドもニョキッと飛び出してくる。
自分のことくらい自分で解決したい。
翔に解決してもらうなんて絶対嫌だ。
「 翔、怒ってくれてありがとう。
でも、俺は自分で怒るからいい。 」
俺は翔を押しのけ、取り巻きの男たちの前に出た。
「 やることがみみっちいんだよ、この大バカ野郎!!!
社会人なら黙って仕事しろ!!こんな馬鹿げた事を持ち込んで大騒ぎするな!!
俺に何か言いたきゃ仕事が終わってから来いよ、相手してやるから。
分かったか!! 」
普段何も言わない俺が大激怒したから、随分と驚いた様だ。
目が点になるソイツらにフンッ!と鼻息荒く睨んだ後は、社長や部長、人事の人や他の社員たちに向かって頭を下げる。
「 この度はお騒がせして申し訳ありません。
私の私生活の事でご迷惑をおかけしました。 」
「 いやいや、いいんだ。
君も他の社員達もいい大人なんだから、プライベートの事まで何か言う権利なんてないよ。
問題はこっちの誹謗中傷する様な紙だからね。 」
「 ありがとうございます。 」
部長が慌てた様に答えると、後ろで社長がキュキュ~ンとウルウルお目目で俺に祈りを捧げてくる!
とりあえず社長もとばっちりだったので、深々と頭を下げておいた。
「 あ、あの!!! 」
とりあえず一旦事態は終息へと向かい始めたと思ったのに、突然蝶野さんが声をあげる。
それに驚いて全員そちらへ視線を向けると────蝶野さんはキラキラした目で翔の前に走り寄ってきた。
「 空野君!久しぶり!私、ずっと空野君に会いたかったの!
あんなに仲良くしてたのに、突然連絡が取れなくなって……本当に悲しかった。
でも理由は分かってるよ?
根本君が原因だよね?
お願いだから根本君の嘘を信じないで……。
何を言われたか分からないけど、ちゃんと話し合って誤解を────……。 」
「 ん~?誰? 」
めんどくさそうにそう言い放つ翔の前で蝶野さんは固まる。
しかしブルブルと震えながら、なんとか引き攣った笑顔をうかべた。
取り巻きの男たちの話など完全無視で、俺のネクタイを直し始めてしまった翔に尋ねると、翔はニコッと笑う。
「 普通に受付の女性に頼んだら通してくれたけど?
それに俺、この会社にも融資しているからさ、そもそも出入りなんて自由でしょ?
本当は潰しちゃいたいんだけどな~。
そしたら源は失業して、家にいてくれるし。 」
「 …………。 」
とんでもない事を言い出す翔に青ざめていると、突然バタバタバタ~!!と部署内に誰かが駆け込んできた。
「 こ、こ、これはこれは空野様ぁぁぁぁぁ!!!
大変お世話になっておりますぅぅぅ~!! 」
バッ!!と頭を深々と下げる社長を見て、一瞬で空気を呼んだ蝶野さんと取り巻き以外の社員たちは、同じく頭を下げる。
それを見て翔はうっすら笑みを浮かべながら「 楽にしていいよ。 」と伝え、それに伴って全員が頭を上げた。
「 今日は源に忘れ物届けにきただけだから。 」
「 さ、左様でございますか~!
ええ~と……そちらの源様は、空野様の御親戚か何かだったのですか? 」
ダラダラと汗を流しながらそう尋ねる社長。
この時点で多分全員翔が偉い人だと思った様だ。
取り巻きの男たちは、青を通り越して真っ白になり、勢いをすっかりなくしていたが────蝶野さんは翔の事を勿論知っているので、パァァァ!と嬉しそうに目を輝かせる。
” 会えて嬉しい! ”
そう全身で表現すふ蝶野さんに多少呆れながら、誤解を解くため説明を始めた。
「 いえ、親戚ではなくて……幼馴染で今はルームシェアしています。 」
「 ────へっ?? 」
「 はっ?? 」
アズマと和恵がクエスチョンマークを浮かべて首を傾げる。
” えっ?彼女と同棲してるんじゃ……? ”
そう雄弁に語る二人には苦笑いを返しておいた。
翔は少しムッ!としたようだが、とりあえずお外用のお澄ましスマイルを浮かべながら、俺の中傷がびっしり書かれた紙を取り出す。
「 ────で?何?これ?
” オジさん相手にパパ活 ” ? ” 男相手に体を売っている ” ?
源はそんな事してないけど。
この会社って随分暇なんだね。 」
翔はその紙を、皆に見せつける様にゆっくり、ゆっくりと破り捨てた。
その紙がパラパラと地面に落下したタイミングを見て……社長が土下座をする。
「 も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!!
全力で犯人を血祭りにあげるのでぇぇぇ~どうかどうかお許しくださ~い!! 」
” 血祭り ” という言葉に取り巻きの男たちは大きく体を震わせたが、翔は彼らの方へ視線を向け、そのままトドメをさす。
「 そうそう、俺さっき君たちが言っていた言葉、よく聞こえなかったんだ。
もう一度同じ事言ってくれる? 」
「 い、いえ……お、俺達は何も────「 早く。 」
言葉を遮って言う翔にビクッ!!とした取り巻きたちは、ボソボソと言葉らしきモノを呟き全員が下を向いた。
翔はニコニコしているが相当怒っている様だ。
昔使いかけの消しゴムを他の子にあげた時と同じ。
その時の凄まじい翔の怒りっぷりを思い出し、ブルっ!と体が震えてしまったが……同時に嬉しくもあった。
翔は俺を信じてくれる。
そして俺のために怒ってくれているから。
しかし────ここで社会人の男としてのプライドもニョキッと飛び出してくる。
自分のことくらい自分で解決したい。
翔に解決してもらうなんて絶対嫌だ。
「 翔、怒ってくれてありがとう。
でも、俺は自分で怒るからいい。 」
俺は翔を押しのけ、取り巻きの男たちの前に出た。
「 やることがみみっちいんだよ、この大バカ野郎!!!
社会人なら黙って仕事しろ!!こんな馬鹿げた事を持ち込んで大騒ぎするな!!
俺に何か言いたきゃ仕事が終わってから来いよ、相手してやるから。
分かったか!! 」
普段何も言わない俺が大激怒したから、随分と驚いた様だ。
目が点になるソイツらにフンッ!と鼻息荒く睨んだ後は、社長や部長、人事の人や他の社員たちに向かって頭を下げる。
「 この度はお騒がせして申し訳ありません。
私の私生活の事でご迷惑をおかけしました。 」
「 いやいや、いいんだ。
君も他の社員達もいい大人なんだから、プライベートの事まで何か言う権利なんてないよ。
問題はこっちの誹謗中傷する様な紙だからね。 」
「 ありがとうございます。 」
部長が慌てた様に答えると、後ろで社長がキュキュ~ンとウルウルお目目で俺に祈りを捧げてくる!
とりあえず社長もとばっちりだったので、深々と頭を下げておいた。
「 あ、あの!!! 」
とりあえず一旦事態は終息へと向かい始めたと思ったのに、突然蝶野さんが声をあげる。
それに驚いて全員そちらへ視線を向けると────蝶野さんはキラキラした目で翔の前に走り寄ってきた。
「 空野君!久しぶり!私、ずっと空野君に会いたかったの!
あんなに仲良くしてたのに、突然連絡が取れなくなって……本当に悲しかった。
でも理由は分かってるよ?
根本君が原因だよね?
お願いだから根本君の嘘を信じないで……。
何を言われたか分からないけど、ちゃんと話し合って誤解を────……。 」
「 ん~?誰? 」
めんどくさそうにそう言い放つ翔の前で蝶野さんは固まる。
しかしブルブルと震えながら、なんとか引き攣った笑顔をうかべた。

