入学式が終わった後の教室は、酷く緩みきった空気が蔓延していた。再び同じクラスになった中学時代の友達と話す人、長時間行われた入学式に疲れたのか、机に突っ伏している人、机に頬杖を付きぼんやりとしている人など、入学式から解放された皆が思い思いに過ごしていた。
また私も例外ではなく、高校生から学校に持っていくことが許可されたスマホで、推しのネットニュースを眺めていた。
良かった、今日も元気みたい。
そう思いながら推しのネットニュースを眺める私は異常なのだろうか。そう思いながらスマホの画面を眺めていると、背中にドンとした衝撃を感じた。
「おはよう優花〜!高校でもおんなじクラスじゃ〜ん!」
「おはよう美優ちゃん!また同じクラスになれて嬉しいよ〜!」
「ほんとそれな〜!高校でもよろしく〜!」
そう言いながら、私に笑顔を向けてくれるこの子は桜木美優ちゃん。小学校からの幼馴染で、ずっと親友だ。とても優しい子で、どんな時でも私のことを支えてくれる。……あの時も、そうだった。
そこから暫く美優ちゃんと入学式の話で盛り上がった。
いびきをかきながら寝ていた人がいたこと、校長先生の話が15分を超える長尺だったこと、自分自身も寝ていていつの間にか式が終わりそうになっていたことなど、沢山のことを話した。美優ちゃんとの会話は、時間も不安も忘れさせてくれるくらいに楽しかった。先生の「はーい、席に着いてくださーい。」という声で、何分もの時間が経っていることに気がついた。
「んじゃ、またね〜優花〜!」
「うん、またね。美優ちゃん!」
そう言って、笑顔でひらひらと手を振りながら、中学生の頃とは全く違う場所に置かれている自分の席に戻って行った。
「はーい、皆さん静かに。」
先生が来てもざわめきが残る教室に、先生が