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私の中に生まれる疑念。
あれから毎日、違和感が続いていた。
言い様の無い不安。
勘違いであって欲しい。
だって誰もそれを口にしないから、私も口をつぐむ。
私だけが気づいているの?
怖い……。
ブルリと体が震える。
そんな事があってはならない。
山音の月命日の日。
私は花屋で花束を買い、山音の眠るお墓へと向かった。線香の匂いが漂うそこに、海音が手を合わせていた。
「俺が優奈を守から」
その言葉に、優奈はひゅっと息を呑む。
体から血の気が引いていく。体に力が入らない。
勘違いであって欲しいと願っていたのに……。
そうか……そうだったんだ。
グッと悲しみがせり上がってくる。
眉が寄り、涙の膜が張る。
こんな顔を海音に見せられない。ゆっくりと後ずさりした所で、声を掛けられた。
「優奈も来たんだね」
いつもと変わらない優しい声音。
優しい声に涙が溢れ出しそうになる。
海音……。
あなたは誰……?


