君は今日もウソをつく……真実のその先へ


 *

「優奈、こっちに来て」

 リビングで一緒にテレビを見ていると、海音に呼ばれた。小さな私を後ろから包み込む様に抱きしめながら、海音はテレビを見始めた。そんな私達を見て、海音のお母さんが溜め息を漏らす。

「あんた達、ホント仲良しね。こっちが照れちゃうわよ」

 そう言われ、自分の状況を見た。昔からこんな感じだったから、海音のお母さんの言葉にキョトンとしてしまう。さすがに高校生ともなるとまずいのかもしれない。私が海音から離れようとすると、海音がそれを拒んだ。

「離れるな」

 少し低めの声音……。

「山音……」

 私は思わず山音の名を呼んだ。それは無意識だった。しかし海音の体が一瞬、ビクッと震えた。そっと海音の顔を覗き込むと、目を見開いたままこちらを見ていた。

 違和感の正体……まさか……。

 まさか……ね。

 少しずつ……少しずつ言い様の無い不安が襲いかかる。

 そんな事があるわけがない。

 あるわけがない。