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 放課後。

「優奈帰ろう」

 優奈の教室まで迎えに行くと、優奈が駆け寄って来た。小動物みたいに可愛い優奈が俺に抱きついてくる。毎日の事だが、この瞬間が至福の時。優奈を抱きしめ返していると、回りからやっかみの声が聞こえてくる。

「バカップル」

「目に毒だからさっさと帰れ」

 ひがんでいろ。

 俺は回りに見せつけるように優奈を抱きしめた。

「バカップルでいいんだよ」

 優しく微笑みながらそう言うと、皆が毒気を抜かれた様に溜め息を付く。これも毎日の事だ。

 変わらない日常。

 そこに俺の片割れはいない。

 ごめんな……。 

 俺だけが幸せで。

 お前の居場所なのにな……。