*
「海音が事故?」
私は急いで病院に向かった。
大丈夫だよね?
無事でいて……私をおいてどこにも行かないよね?
笑って優奈って呼んでくれるよね。
お願いだから無事でいて。
そう願いながら病院に着くと、山音の立ち尽くす姿があった。私は崩れる様にその場にへたり込み、叫ぶように悲鳴を上げ、海音の名を呼んだ。すると私に近づいてきた山音が、顔を顰めながら口を開いた。
「優奈泣かないで、海音は俺だよ」
海音?
良かった……。
私は安堵から海音の名前を何度も呼んだ。
山音には申し訳ないと思ったが、本当に海音が無事で良かったと思ってしまったんだ。
それから海音は怖いぐらいに私に対して過保護というか、甘えん坊になった。回りが驚くほど甘く……?私に甘えてくる。海音は山音がいなくなり、一人でいることが寂しいんだろうか?休み時間もピッタリとくっついて、離れる様子が無い。休み時間が終わると寂しそうに自分の教室に戻っていく。今日も休み時間の終わりが近づき、悲しげな海音の頭を撫でていると、皆に冷やかされた。
「何だか、海音くんが優奈の弟みたいに見えるんだけど」
「思った。優奈の方が小さいのに、海音くんの方が小さく見える。小動物的な?」
そうなんだよね。
最近私もそう思っていた。
海音が幼児化しているように見えるんだよね。
そんな事を言われた海音はウルリと瞳を滲ませた。その顔が何とも庇護欲お誘うようなかわいい顔で、それを見た回りの女子達の顔が赤くなる。
「やだ……何?」
「その顔反則」
「イケメンのウル顔、眼福!」
悶絶する女子を見ながら私は溜め息を付いた。私は二人の顔に免疫があるから意外と落ち着いていられるんだよね。
「海音、また放課後にね」
「うん」
海音は私に一度抱きついてから自分の教室へ戻っていった。
「あんた、よく平気だね。あれを手なずけられるのは優奈だけだわ」
「ホントそれー」


