「海音!おはよう!」

「おはよう。優奈は今日も元気だね」

「うん!」

 学校へと向かいながら青い空を見た。

 俺は今日も海音として生きる。

 そう思いながら眉を寄せたからか、優奈が甘えた様に俺の胸に飛び込んで来た。まるで俺の心を見透かしたみたいに、こちらを見ながら飛び込んできた優奈を、両手で抱きとめる。

 優奈は人の心を読むのが本当に上手い。 

 こう言う時の優奈には、本当にかなわない。

 何も言わなくても、優奈は俺の気持ちに気づいてしまう。

 ああ……好きだな。

 愛おしさが込み上げ、無意識に可愛らしい唇に自分の唇を重ねた。

「きゃ!」

 すると可愛い悲鳴が返ってくる。

「ダメだった?」

「い……いいけど、ここではダメ!」

「なんで?」

「何でって、ここ通学路だよ!」

 回りを見ると沢山の生徒達が、顔を赤くしながらこちらを見ていた。

「ごめん……」

 シュンっと顔を伏せると、頭を優奈が撫でてくれた。嬉しくて顔を上げると、眉を寄せた優奈の顔があった。これは泣き出す前にする顔だった。

 ごめん……優奈。