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お墓からの帰り道、手を繋いでたわいの無い会話をしながら家へと向かっていた。チラリと優奈を見るとボーッと前を向いている。
「優奈?大丈夫?」
なるべく優しい声で優奈に話し掛ける。するとハッとしたように優奈が俺を見た。
「ごめん……ボーッとしてた」
「疲れちゃった?」
「うん……そうかも」
「小さい頃みたいにおんぶしようか?」
優奈は少しためらってから、両手を広げた。
おんぶのおねだり……可愛いな。
俺は優奈をおんぶして歩き出した。
幸せな重み。
背中が温かい。
「重いよね。ごめんね」
「優奈は小さいし、軽いから平気だよ」
そこから優奈は喋らなくなった。
眠ってしまったかな?
家に着き、優奈を起こす。
「優奈着いたよ。起きて」
「ん。ありがとう」
顔を伏せながら目をこする優奈が、お礼を言ったので、俺は自分の家に帰るために優奈に背を向けた。
その時……。
「山音また明日……」
山音……?
俺は勢いよく振り返る。
するとボロボロと涙を流した優奈が立っていた。
俺は思わず、言ってはいけない言葉を口にする。
「お前気づいて……」
そこまで言って俺は口をつぐんだ。
それを見た優奈も、それ以上は何も言ってこなかった。


