私には幼馴染みが二人いる。隣に住む双子の兄弟、相良海音と山音である。二人は一卵性の双子で見た目がそっくり。どれほどそっくりかというと、双子の両親も間違うほどにそっくりだった。二人はよくそれを利用して、大人や友達をからかっていた。私はそんな二人の隣の家に住む同じ年の女の子で東雲優奈。男の子の双子に幼馴染みの女の子。まるで昔の野球アニメみたいだね。何て良くからかわれる。そんな私達は成長し、高校生になって同じ高校に通っている。
「おはよう!海音、山音!」
二人の家にずかずかと入って行くと、リビングの扉を開けながら元気に挨拶をする。
「「おはよう」」
すると同じタイミングで二人が挨拶を返してくれた。学校の日は、昔からこうして二人を迎えに行くのが私の日課だ。
「今日も息ピッタリね」
私はリビングで朝食を食べている二人を見ながら微笑んだ。
「「双子だからな」」
ふふふっ。ホント息ピッタリ、双子って感じだ。
「あっ、急がないと遅刻しちゃうよ」
私は二人の腕を引っ張ると、海音と山音のお母さんに「行ってきます」と笑顔で挨拶しながら外に出た。学校に行くには駅まで徒歩で10分、そこから電車で二駅。駅を降りたら、また徒歩で5分。電車に揺られながら私は双子を見た。サラサラの髪に整った目鼻立ち、黙っていたら物凄いイケメンである。そんな二人の隣にいる私は背が小さく、小学生に間違われるような童顔、髪はくせっ毛なのだが、ありがたいことにパーマを掛けたようなゆるふわ。美容院いらずなこの髪は私のお気に入りだ。
駅を出て学校までの道のり、女子生徒達がチラチラと双子を見ている。
だよね。
二人とも格好いいもんね。
私はそんな双子に挟まれ、お姫様気分。
昔からこの位置は変わらず、右に海音、左に山音、真ん中に私。いつだって守られるように私は二人の間にいた。
そんな関係が突然崩れた。
「海音?話って何?」
「ああ……その……、優奈が好きなんだ。その……恋愛的な意味でなんだけど……付き合ってほしい」
海音からの告白に驚いたが、私はすぐに返事をした。
「私も海音が好き!」
そう、私は昔から海音が好きだった。
海音と山音は見た目はそっくりだが性格がまるで違う。海音はとても穏やかで何処までも優しく、私の隣にいてくれる。山音は少しぶっきらぼうで意地悪な所があり、口が悪い。私はいつも穏やかで優しい海音の事が昔から好きだった。
海音の告白から、二人で過ごす時間が増えた。その代わりに山音との時間は減っていった。


