なぜかそばに専用駐車場がないので、僕らは互いに仕事上がりで疲れているのに、けっこうな道のりを歩くはめになった。

 それでも道中、神社のものに違いない燈籠がいくつも並んでいたためか、歩を進めれば進めるほどに、ふくらむ期待に僕もアサミも満面の笑みを浮かべ息を弾ませた。


 いよいよ丘のふもとまで来て、坂道になった。
 ネットのガイドでは燈籠に火が灯り、提灯もぶら下がる幻想的な桜並木を眺めて登るはずだったが、明かりは一切なく、真っ暗闇が大きな口を開けているきりだった。