83話

「湊、湊の本当の祈りってなに?正直に教えてよ」
「…………」
「ねぇ。ボクは、もうすぐ『きえる』からさ」
「な、なんでよ」
なんで、なんで、祈里が消えないといけないの?
「それは…………さ。ボクは湊から、生まれてるからさ」
「……あ」
そうだ、そうだった。
ボクから、祈里は生まれてたんだ。
「だから……、早く祈り……願いを教えてくれないと…………かなえられないよ……?」
かなえられない……か。
別に、叶わなくて、いいや。
「いいよ。かなえてもらえなくても。もう、祈里には十分かなえてもらったし。ボクはゲームができただけで十分。だから、大丈夫だよ」
「……え……?」
祈里は少しびっくりした顔をしてから、悲しそうな顔をして聞いてきた。
「わかった。かなえない。でも、教えてほしい」
祈里はどうしても聞きたいという様子で聞いてきた。

「わかった。ボクの……最後の祈りは……『            』だよ」

そうボクは言った。
それを聞いた祈里は、
「わかった。叶うと、いいね」
「うん」
そういった、祈里はもう、透けていて消えかけていた。
「ボクは消えるわけじゃないよ。湊、きみの中に残り続けるんだよ……じゃあ。じゃあね」
そういって、祈里は手をあげた。
ボクも
「うん」
と言って、手をあげた。
そして、ハイタッチ……透けていて、できないけど、
ボクと祈里はハイタッチをした。