あの夏の約束

8話(ゆと視点)

ここどこだ……?そして、いま僕、兎咲ゆとはどういう状況なんだろ……?
多分……ここは……ただの、草原。
遠くに海が見える気がしなくもないような……?
「……たぶん……海が見えてる方向に向かえば……いいはず」
そして、僕は歩きながら考えることにした。
あの、『祈里』っていう人について。

祈里、っていう人は最後に僕たちに向かって
『頑張ってね、みんな』
なんで、そんなことを言ったんだ?
赤の他人で、僕たちのことを無理やりゲームに参加させているなら、『頑張って』なんて言わないはず。
だって、そんなこと言う理由がないはずだから。
考えているとき、風が吹いた。
「うぅ」
立ち止まって、風で乱れた、あの時から片目を覆い隠すように長くした前髪を整えた。
まだまだ、海は遠そうだけど、さっきよりはだいぶ近づいた感じがする。

そして、またしばらく歩き続けた。
「はぁ、はぁっ……」
息が続かない……僕こんなに体力無かったかなぁ……
最近はぶっ倒れるまで走りとおすとかやって無いもんなぁ
…………というか海の見える方向に歩いても、端の可能性……が……
確か塔って真ん中だったよね……
あぁ。逆方向だったら海に飛び込んで死のうかなぁ……
そうしたら、一回だけ誰かのところに行けるらしいし。

まぁ、とりあえず海まで歩くか。
息を整えてから僕はまた、歩き出した。