あの夏の約束

42話(湊視点)

~4年前~

小学4年生、夏
そして、女の子は突然こんなことを言った。
「私は水鳥彩音、小4。よろしく!」
……急に自己紹介をされた。
「は……?」
ボクは意味が分からなかった。
「これで、知ってる人でしょ?だから、あそぼ?」
「へ?」
「知らない人で邪魔になっちゃうから逃げたんじゃないの?」
……すごい勘違いされていた。
「ち、違います」
「えぁ?違うの……?彩音の勘違いってこと……?」
後ろでボクのことをつかんでいた人がそういって、ボクから手を離した。
「わっ」
「あ、大丈夫……?」
「だ、大丈夫です」
その時、ボクをつかんでいた人の顔が見えた。
整った顔立ちの男の子だった。
そうして、その男の子も自己紹介をした。
「僕は、兎咲ゆとです……よろしく……」
そして、ゆと……くんと彩音さんがボクに視線を向けてきた。
「えっと……」
これは自己紹介をする流れだったのかな……
「えっとぉ……僕は、入野湊です。よ、よろしくお願いします」
自己紹介をしてしまった。
この人たちなら、心を許して、いいかもな。
何かあったら、その時考えればいいや。

そして、ボクはもう、家のことなんて忘れていた。