36話(望&彩音視点)

「ねぇ、望。どこから、塔に行くの?ここはだめだったじゃん。なんでまだ見てるの?」
「彩音、せかすな」
「せかしてないもん」
「……ここ何かありそうなんだよ……」
おれはおれが落ちた、崖の側面を観察していた。

「あっ」

そして、おれは見つけた。
「望、どうした?」
「あったよ、あった。彩音、これだよ」
そして、おれは、側面にあった、凹凸を指さした。
「なに?」
「この、階段みたいなやつだ」
「あっ……」
「これを、降りてみる。彩音はついてくるか?」
「……っもちろんでしょっ」

「よしっ、じゃあ行くかっ」

おれらは一歩踏み出した。