26話

~2年前~
夏休み最終日(4)

「みな……と、みなとッ」
なんで……?
「大丈夫っ!?夏芽!」
「わた、しは……みなと、が」
「え……?港……」
彩音が、望が、ゆとが、樹季が。そして、私。
誰も、声が出なかった。
高速道路の速度制限よりも速度が出てたような、トラックにはねられた、港は、原形もとどめられないくらいにぐちゃぐちゃだった。
「ね、ねぇ……なつ、め。これっ、てさ本当に、みなと、なの?」
「……うん……」
「なんで、なんで、夏芽は逃がして、自分は、港はよけなかったの?馬鹿なの?阿保なの?なんで、なんで」
仲間が死んだんだよね。

私にその自覚が出たのは、そこに来た、警察に事情を聴かれてだった。

そこで、私は、港がもう2度と帰ってこない、もう2度と話せない、と、気がついた。

なんで私を、逃がしたの……?なんで、港は逃げなかったの……?
それで頭がいっぱいで、私は数日泣き荒らした。

「港、会いたいよ。ゲームしたいよ」

みんな、そう思っていた。