21話(夏芽視点)

おじいさんの懐で光っている、何かに私は目を惹かれていた。
血まみれだし、近づきたくもない。
触りたくもない。
なのに、なぜか惹かれる。
私は、心を決めてその光っているものに近づいて、取った。
それは、メモ帳の1ページだった。
「あ……」
中にはこんなことが書いてあった。
「夏芽、頑張ったね。ごめんね、ボクのせいでトラウマになっちゃったよね。このおじいさんは偽物だから安心してね。この家の1階に電話があるから、1回だけ誰かにかけていいよ」
と、書いてあった。
「……み、なと……?」
私は急いで部屋を出て、電話を探した。
「どこ……どこ……?」
誰かに電話をかけていいよ、とかいてあった。
それは、彩音、ゆと、望、樹季の4人限定じゃない、という意味なら……
このメモをかいた人が、港なら。

電話は……港にかけられるはず。

「あったっ!」
電話は1階の廊下の突き当りにあるような感じで設置されていた。
名前を選択する欄があり、普通の電話ではなかった。
名前の選択は、水鳥彩音、桐里望、兎咲ゆと、相川樹季……その他入力とあった。
「……」
私はもちろんその他入力を選んで、入野港、と入力した。

港、でしょ……?
このゲーム作ってるの。