教室に戻ると、ニヤニヤしながら私を迎え入れる紗夜ちゃんが待っていた。
「ねぇ、いい感じだったじゃん」
私の二の腕をつつきながら、楽しそうに笑っている。
「ちゃんと来てほしかったけど、ありがとう」
「行ったんだよ?でも仲良く話せてたからさ。連絡先の交換に一歩近づいたんじゃない?」
そうだ。そのことで伝えたいことがあったんだ。
ゴソゴソとポケットからスマホを取りだして、プロフィール画面を表示する。
「できちゃった」
「え、ほんとに?」
飛び出しそうなくらい大きく目を開けて、私のスマホ画面に釘付けになっている。
大きな瞳が今にもこぼれてしまいそうだ。
「嘘みたいでしょ?まだ全然実感が湧かなくて……」
ふわふわしている私の横で、「やるなぁ」とボソッとつぶやく声が聞こえる。
早く会いたいな。会いたい。
……あれ?でも、誰に?
私の中の姿だけが頭に浮かぶ人が、私の気持ちをモヤモヤさせる。
「おめでとう。じゃあまた、次どうするか考えないとね!」
驚きの中に喜びが混ざっていて、それは表情だったり楽しそうな声色だったりでわかる。
まるで音楽記号のクレッシェンドみたいに、驚きが強い声から喜びが強い楽しげな声に変わる。
「うん。……どうしようかな」
でもさっき感じたモヤモヤも、今この瞬間にはすっかり忘れて後ろに座る紗夜ちゃんの席に腕越しに体重を全部預けて話していた。
「ボディタッチとか?他の子ならともかく、雛乃にならドキドキするかも」
「え、なんで?」
「……身近な人でしょ?あいつが連絡先の交換するとか、滅多にないことだし」
何かを隠すように目を泳がせている。
そして様子を伺うようにそっと私に視線を戻した。
「私には、むずかしいかも」
「……なんで?」
「友達に触れるのにも勇気がいるもん。それで嫌われたら、苦しい」
息が苦しい。
酸素が薄くて、胸まで息が届いていない気がする。
……嫌なこと、思い出したなぁ……。
脳裏で再生される、幼稚園の頃の普段は忘れている記憶。
「じゃあ、今度は三人で遊びに行こう」
「うん。それがいい。ちゃんと紗夜ちゃんも来てね」
紗夜ちゃんの手を握る代わりに、自分の手を強く握った。
早く、会いたい。
藍に、早く。
さっき一瞬忘れていたこのショックが、嫌なことを思い出した苦しみが、私の心を嫌な気持ちで溢れさせている。
今日は約束の日。あなたに会える日。
ぐらぐらと揺れる心をまっすぐ支えるように、頭の中を藍のことでいっぱいにした。
心の中で、あのときとは違うと何度も言い聞かせながら、藍の優しい声を頭の中でずっと再生していた。
「ねぇ、いい感じだったじゃん」
私の二の腕をつつきながら、楽しそうに笑っている。
「ちゃんと来てほしかったけど、ありがとう」
「行ったんだよ?でも仲良く話せてたからさ。連絡先の交換に一歩近づいたんじゃない?」
そうだ。そのことで伝えたいことがあったんだ。
ゴソゴソとポケットからスマホを取りだして、プロフィール画面を表示する。
「できちゃった」
「え、ほんとに?」
飛び出しそうなくらい大きく目を開けて、私のスマホ画面に釘付けになっている。
大きな瞳が今にもこぼれてしまいそうだ。
「嘘みたいでしょ?まだ全然実感が湧かなくて……」
ふわふわしている私の横で、「やるなぁ」とボソッとつぶやく声が聞こえる。
早く会いたいな。会いたい。
……あれ?でも、誰に?
私の中の姿だけが頭に浮かぶ人が、私の気持ちをモヤモヤさせる。
「おめでとう。じゃあまた、次どうするか考えないとね!」
驚きの中に喜びが混ざっていて、それは表情だったり楽しそうな声色だったりでわかる。
まるで音楽記号のクレッシェンドみたいに、驚きが強い声から喜びが強い楽しげな声に変わる。
「うん。……どうしようかな」
でもさっき感じたモヤモヤも、今この瞬間にはすっかり忘れて後ろに座る紗夜ちゃんの席に腕越しに体重を全部預けて話していた。
「ボディタッチとか?他の子ならともかく、雛乃にならドキドキするかも」
「え、なんで?」
「……身近な人でしょ?あいつが連絡先の交換するとか、滅多にないことだし」
何かを隠すように目を泳がせている。
そして様子を伺うようにそっと私に視線を戻した。
「私には、むずかしいかも」
「……なんで?」
「友達に触れるのにも勇気がいるもん。それで嫌われたら、苦しい」
息が苦しい。
酸素が薄くて、胸まで息が届いていない気がする。
……嫌なこと、思い出したなぁ……。
脳裏で再生される、幼稚園の頃の普段は忘れている記憶。
「じゃあ、今度は三人で遊びに行こう」
「うん。それがいい。ちゃんと紗夜ちゃんも来てね」
紗夜ちゃんの手を握る代わりに、自分の手を強く握った。
早く、会いたい。
藍に、早く。
さっき一瞬忘れていたこのショックが、嫌なことを思い出した苦しみが、私の心を嫌な気持ちで溢れさせている。
今日は約束の日。あなたに会える日。
ぐらぐらと揺れる心をまっすぐ支えるように、頭の中を藍のことでいっぱいにした。
心の中で、あのときとは違うと何度も言い聞かせながら、藍の優しい声を頭の中でずっと再生していた。


