「てことがあってね!」
家の近くの神社の、いつものベンチで私は今日あった出来事を熱弁していた。
「へぇ……」
「ねぇ藍、どうしよう!」
「うーん……」
まるであの考える人のように、眉間にシワを寄せながら固まっている。
風が吹くたび揺れる、生まれつきミルクティーカラーの髪色の持主の彼女は、私の親友の藍。
「____雛乃、これはチャンスだよ」
恋バナにときめく女の子の反応が帰ってくると思ったら、真剣な目つきで私のことを捉えた。
「チャンスって、なんの?」
「雛乃って、私以外に友達いないでしょ」
「それは、まぁ……」
いないというか、藍がいるから作らなかった。
私にとって幼稚園の頃から一緒の藍は、友達以上恋人未満という言葉があるように、親友以上夫婦未満という、恋人と同じような関係だと思っている。
私は藍がいればそれでよかったし、現に生きてこられている。
「これから先、人間関係を無視して生きていくなんてムリだよ。これは、雛乃の人間関係を向上させていくいい機会だよ」
何か覚悟を決めたような眼差しが私に刺さる。
拒むことを彼女は許してくれるだろうけど、きっとそれをしたら悲しい顔をする。
本当は「えぇー」「やだよ」って弱音を吐きたいけど、ぐっと堪えて飲み込んだ。
「……わかった」
確かに、あの人のことを知るには、普通に友達がいる場合、まずどこの誰かその子に聞いたりするところから始まるだろう。
そんなことをできないまま、まるで夢の中の王子様を思うような日々をつづけていたら、この恋は一ミリたりとも進まない。
そう考えたら、なんだか頑張れる気がしてきた。
「よし!雛乃の恋、私も一緒に頑張るから」
そう、どこか寂しそうに燃えている藍に、私はその寂しそうな小さい影に気付いていないふりをした。
「どうしようかな。どこの誰かもわかんないんじゃ、探しようがないもんね」
この明らかに本人に辿り着くまででもう長丁場の恋は、私が卒業するまでに好転するのかな。
まずは友達をつくって、恋バナができるくらい仲良くなってから、やっと情報収集。
そういう道のりを想像していた私の思考では考えつかないようなアイデアを、藍は閃いた!と叩き出した。
「とりあえず出待ちかな」
「え、出待ち?友達は?」
「同時進行に決まってるでしょ?」
まるで恋多き女みたいに、自信満々に話している。
でも出待ちってどこで?
ていうか、出待ちって居場所がわかるから成立するものじゃないの?
「ほかに方法はないかな?無謀に出待ちするのは、ちょっと……」
「……確かに、いるかいないかの確認手段もないんじゃムリか」
結局ふりだしに戻った。いや、私が戻したのかもしれない。
「じゃあ明日は、クラスメイトに話しかける。それ以外の時間はなるべく学校を練り歩いてその人探そう」
ふりだしに戻っても、友達と恋愛は同時進行らしい。
でもさっきよりも少しやりやすい。
会える確率は、出待ちの方が高いかもしれないけど。
それでも出待ちはストーカーみたいで気が引けたから、とりあえず一安心だ。
「わかった。やってみる」
私が頷くと、藍も微笑んで頷いた。
家の近くの神社の、いつものベンチで私は今日あった出来事を熱弁していた。
「へぇ……」
「ねぇ藍、どうしよう!」
「うーん……」
まるであの考える人のように、眉間にシワを寄せながら固まっている。
風が吹くたび揺れる、生まれつきミルクティーカラーの髪色の持主の彼女は、私の親友の藍。
「____雛乃、これはチャンスだよ」
恋バナにときめく女の子の反応が帰ってくると思ったら、真剣な目つきで私のことを捉えた。
「チャンスって、なんの?」
「雛乃って、私以外に友達いないでしょ」
「それは、まぁ……」
いないというか、藍がいるから作らなかった。
私にとって幼稚園の頃から一緒の藍は、友達以上恋人未満という言葉があるように、親友以上夫婦未満という、恋人と同じような関係だと思っている。
私は藍がいればそれでよかったし、現に生きてこられている。
「これから先、人間関係を無視して生きていくなんてムリだよ。これは、雛乃の人間関係を向上させていくいい機会だよ」
何か覚悟を決めたような眼差しが私に刺さる。
拒むことを彼女は許してくれるだろうけど、きっとそれをしたら悲しい顔をする。
本当は「えぇー」「やだよ」って弱音を吐きたいけど、ぐっと堪えて飲み込んだ。
「……わかった」
確かに、あの人のことを知るには、普通に友達がいる場合、まずどこの誰かその子に聞いたりするところから始まるだろう。
そんなことをできないまま、まるで夢の中の王子様を思うような日々をつづけていたら、この恋は一ミリたりとも進まない。
そう考えたら、なんだか頑張れる気がしてきた。
「よし!雛乃の恋、私も一緒に頑張るから」
そう、どこか寂しそうに燃えている藍に、私はその寂しそうな小さい影に気付いていないふりをした。
「どうしようかな。どこの誰かもわかんないんじゃ、探しようがないもんね」
この明らかに本人に辿り着くまででもう長丁場の恋は、私が卒業するまでに好転するのかな。
まずは友達をつくって、恋バナができるくらい仲良くなってから、やっと情報収集。
そういう道のりを想像していた私の思考では考えつかないようなアイデアを、藍は閃いた!と叩き出した。
「とりあえず出待ちかな」
「え、出待ち?友達は?」
「同時進行に決まってるでしょ?」
まるで恋多き女みたいに、自信満々に話している。
でも出待ちってどこで?
ていうか、出待ちって居場所がわかるから成立するものじゃないの?
「ほかに方法はないかな?無謀に出待ちするのは、ちょっと……」
「……確かに、いるかいないかの確認手段もないんじゃムリか」
結局ふりだしに戻った。いや、私が戻したのかもしれない。
「じゃあ明日は、クラスメイトに話しかける。それ以外の時間はなるべく学校を練り歩いてその人探そう」
ふりだしに戻っても、友達と恋愛は同時進行らしい。
でもさっきよりも少しやりやすい。
会える確率は、出待ちの方が高いかもしれないけど。
それでも出待ちはストーカーみたいで気が引けたから、とりあえず一安心だ。
「わかった。やってみる」
私が頷くと、藍も微笑んで頷いた。



