大学生、夏、ザリガニを釣りに行く


ここからは後日談だ。



ザリガニ釣りエッセイを書く上で、まず携帯の写真フォルダを遡ってみた。当時一眼レフカメラにハマっていたこともあり、驚くほど画質の良いザリガニの写真が数枚残っていた。ついでにさきいかを貪っている動画も。海老に似た生物と思えば全然可愛い。美味しそうとは思わないが。



プラス、皆の写真だ。即席釣竿を持って各々ザリガニを釣り上げる写真、夏の風景を鏡のように反射する池を覗き込む友人の写真。そして、帰り道、自転車を漕ぐ4人の写真。

細かいことは覚えていなかったが、それらの描写に紐づいた記憶が蘇ってきた。一度あったことは思い出せないだけでちゃんと覚えている、とは良く言うものだな、と思った。帰り道の途中に寄った川で遊んでいる最中にC君のサンダルが壊れ、彼は家に戻るまで右足だけ裸足でペダルを漕ぐことになったことなど、完全に抜け落ちていたからだ。思い出すと同時に、笑った。



が、残念ながら今では彼らとかなり疎遠になってしまった。大学2年生に上がるタイミングでコロナ禍に入り、めっきり会わなくなってしまった上、学部も異なるせいですれ違うことさえも減ったからだ。

それでも、一年に一回は何だかんだ顔を合わせている。東京の、高層ビルに囲まれた街中で。

その度に、あの夏を思い出している。

まだ子供でありたかった──その癖、大人気ない行動範囲と無駄な体力を兼ね備えた、ヘンテコ大学生たちのとある休暇を。