私たちは同学年、木管楽器の集まりだ。各々他県から進学しており、大学近辺に自身の部屋を構えていたので、日時と場所を指定し、『備考 : 自転車を携えて来い』とグループラインに連絡すれば話は一瞬だ。
当日、真夏の炎天下、大学前にて自転車の集団がたむろしていた時は流石に笑ってしまった。私たちが必死に受験勉強をした先に待ち受けていたのは、こんなヘンテコな未来だったのか。
しかし、主犯の私はそんな想いを顔に出すことなく、こう口にする。
「よっす、皆の衆」
面白いのが、木管楽器の2年生の先輩が1人参加してくれたことだ。私はザリガニ釣りについてこの4人以外の誰にも話していないのにも関わらず、何故メンバーが増えているのか。戦犯はそう、先程詳しく説明しなかったC君だ。
時は2日前に遡る。突然彼が、2年生の他、3年生や4年生も含む木管楽器全体グループでこう呼びかけたのだ。
『〇月〇日にザリガニを釣りに行きませんか?行きたい人は13時に大学前にお願いします!』
……なぜ言う!
こんな内輪ノリを他の先輩に押し付けるんじゃないよ、私たちが企てていることが如何にぶっ飛んでいるかわかるだろうが恥ずかしいだろ、と皆で彼を説教したのだが、実際に1人来てくれた挙句、他の先輩にも予定が無かったら行きたかった〜、なんて後に言われる始末。
大学生は皆狂気じみているのかと思った。
