「待って?あの先輩かっこよくない?」
 部活の最中、私は一人の先輩を指さした。
 私たちは部活に入ったばかりの一年生。休憩中サッカー部を見るのが私たちの日課だった。今日も友達の美音と一緒に見ていると、他の人とは雰囲気の違う、初めて見た先輩がいた。
 「ほんとだ!かっこいい!」
 「名前なんだろう?」
  私たちはは夢中でサッカー部を見ていた。そういえばサッカー部には海斗もいるんだった。探してみようかなと思っていると、私たちがかっこいいと言っていた先輩と話している。ここからは二人の表情も声もわからない。でも私たちはずっとそんな光景を見ていた。
 「やるよ〜」
 『はーい』
 いつも通りの合図。もう休憩終了?早くない?とか思いながら体育館に戻った。でも、私は先輩が気になってしょうがなかった。部活にも身が入らず、その日は外ばっかり見ていた。
 「なんでだろう。」
 感じたこともない気持ちが心の中で動き始めた。

 次の日、学校に行くと海斗の席に直行した。
 「海斗ってサッカー部だよね?」
 「おう」
 「じゃあさ?昨日いた先輩の名前分かる?」
 「…何人いると思ってんだ?」
 「えっと…背が高くて昨日の練習中海斗とよく喋ってた人。」
 「あぁ。蒼空先輩か。青木蒼空先輩。一個上でめっちゃサッカー上手いんだよなぁ。」
「へぇ?海斗とは大違いだね」
 「はぁ?お前さぁ、、」
 「冗談だよ。ありがとう」
  「青木蒼空先輩」心の中で言ってみた。その瞬間心臓がドキドキした。えっ?なんでドキドキしたかはわからない。でもその日は時計ばっかり見て過ごした気がする。理由は簡単早く部活にならないかなぁ、って、。時間が早く進んで欲しかった。でも、この時の私は知らなかった。こんなにも自分が変わるなんて。