「んじゃ!スタートな!」

 ソウ先輩がタイマーをスタートさせてからアキにボールを渡す。
 アキは少しドリブルをしてすぐにダイ先輩に回した。
 ハイポに俺が上がるタイミングでパスが繋がって、俺は振り返ることもせずそれを左の脇からバウンズパスでボールを後ろにやる。
 合わせた力也がそれをジャンプシュートで決めて先制をした。

「ウェーイ!」

 ソウ先輩が一度コートから出てオフィシャルのボタンを押して点数を入れる。

「はぁ!?お前ら合図も何もなしか!」

 ウエ先輩の声が聞こえてきて、力也は笑いながら右肘を見せてきた。
 俺もディフェンスに戻りながらそこに左肘をぶつける。

「来るぞっ!!」

 ダイ先輩の叫びを聞いて力也と振り返ると、セイ先輩とヒサが凄いスピードで走りながらパスランを繰り返してあっという間にハーフラインを越えてきていた。

「速っ!!」

 喚く力也から目を移してマークマンのユウ先輩をチェックする。
 だが、セイ先輩ももうすぐそこにまで迫ってきていて俺はカバーに入って跳びながら左腕を高く伸ばした。
 シュートモーションからチラッとユウ先輩に視線をやって下げたボールは俺の右側からまた上がってふわりとその手から離れる。
 やられた。
 体を捻ってボールの行方を追うと、リングには嫌われて落ちてきたが俺は体勢を戻せない。
 ユウ先輩がキャッチすると、リョウ先輩がアウトでボールを受けて攻撃を仕切り直す声が上がった。