「っつーことで、“パー”からでいいよな?」
「はぁ?何でだよ!」

 ソウ先輩がボールを持つと、リョウ先輩が即座にツッコむ。

「いや、グーとパーだとパーの勝ちじゃん?」
「……まぁ、そうか」

 それで引くリョウ先輩もどうかと思うが、マイボールになったんだしツッコむのは止めた。

「なら、そっちがビブスも着ろよ!」

 ウエ先輩か赤いビブスを放ってきて俺たちは黙って着る。
 意外と本気でやるらしい。
 用意されたオフィシャルの時計の表示は十分。
 さすがにボールが出る度に止める正式タイムではなく、時間は流したままのランニングだろうが……意外とみんなきっちり準備運動をしてアップを始めて、俺も足を伸ばした。

「何か緊張すんな」
「お前は敵チームだろ!覚悟しろよ!」
「えー!初心者には優しくだろーが!」

 手をプラプラさせながら近づいてきたヒサにアキがニィッと笑うと、ヒサはブーブーと口を尖らせる。

「もう完璧なフォームでレイアップ打てる奴は初心者じゃない」
「な!」

 タバスコというか辛いものが苦手な力也はどうしてもロシアンルーレットは回避したいらしく、真剣な顔でヒサに言ってアキとハイタッチをした。
 どこも本気モードで少しドキドキする。
 ゆっくり右腕を上げてみてもやはり肩よりは上がらなくて俺はそっと腕を下ろした。