クリスマスイヴ当日。
 俺と力也とヒサと珍しく同じ一年のアキ(高木(たかぎ)(あきら))もウエ先輩の家のコートに居た。
 力也から『先輩たちバスケするって!行く?』そんな軽い連絡を受けたから。
 そして、集まっていた先輩たちが

「うわっ!今年トモ居ねぇって!!あいつ彼女できたのか!?」

 そんなことを言っていて何となくこの集まりを理解する。
 クリスマスに《《彼女の居ない》》メンバーでのバスケ。
 トモ先輩も三年の先輩たちが居ないのも……そういうことだ。だが、

「あれ?セイ先輩はいいんですか?」

 ヒサがその中にセイ先輩が居ることに気づいて声を掛ける。

「あぁ。フランスではクリスマスは家族で過ごすらしい」

 微笑むセイ先輩を見て何とも言えない苦々しさが広がった。
 一応フリは続けるらしい。
 それを続けるせいで菊川先輩はあんなに苦しそうなのに。

「おーい!チーム分けんぞ!」

 ウエ先輩と同い年で今は大学生のイケメン、リョウ先輩が声を掛けてみんなで丸くなる。

「グッパ?」

 ウエ先輩が聞くと、リョウ先輩はスマホを見てみんなにも見せた。

佑樹(ゆうき)が二十時過ぎなら飯いいってさ!貸し切りにしてケーキも用意してくれるって!」
「やった!!」

 ソウ先輩がピョコンと飛び跳ねると、リョウ先輩はニィッと笑う。

「だから、負けたチームはロシアンルーレットな?」
「またかよ……」

 呆れた顔をするウエ先輩を見つつ笑うと、リョウ先輩は訳のわかっていない俺たち一年の方に体を向けた。