県大会当日。
 俺は力也と会場に来ていた。
 セイ先輩もトモ先輩たちと行くと聞いて今日の組み合わせを転送したから、きっと先輩たちもどこかに居る。

 一ヶ月前、予選の決勝で足を怪我した三木先輩。
 菊川先輩からセイ先輩もその病院に付き添って、三木先輩の家まではセイ先輩が送り届けたことを聞いた。
 これであの二人もくっつくかと思ったのにそうではないことにガッカリしたが、いい加減ハッキリして欲しい気持ちとまだ曖昧でいて欲しい気持ちとでグチャグチャだ。
 まだであれば菊川先輩は何だかんだ俺に相談してくれる。
 俺も先輩に告ってるのに……。
 最初はただ複雑だったが、三木先輩にも言えないだろうし……何よりどんなことであっても俺に打ち明けてもらえるのは嬉しかった。
 まぁ、セイ先輩への想いを感じ取るのはただのダメージだが。


 一階のコートは前の試合が終わって女バスが白いジャージ姿でベンチに姿を見せた。

「やっぱりアリス先輩も出るんじゃないか?」

 力也が指を差す先、そこには上に白いジャージで下は白いユニフォーム姿の三木先輩。
 このほぼ黒髪の中にあの天然の金髪は目立つ。
 三木先輩はバッシュを履いてボールを持って菊川先輩と話していた。

「全治一ヶ月って言われて今日で一ヶ月。でも、菊川先輩は反対してたけどな」

 菊川先輩と何度かやり取りしたのを思い出す。