二回戦、試合当日。

「いいか。スタートはいつもと同じ。だが、圧倒的に練習不足だからな。無理はするなよ」

 先生は両頬を叩いたトモ先輩を見て、それぞれに言葉をかけながらその背中も軽く押す。

「向こうは三年も三人残っていますから……焦らずに。突っ込み過ぎずボールを回して、とりあえず確実にシュートできるようにしましょう」

 俺自身も調べてあったことを伝えると、

「あぁ」

 セイ先輩は頷いて俺の手にパチンと音を立てて歩いて行った。
 そのまま全員で手を合わせて五人並んでからコートに頭を下げる。
 

 だが、試合は走っても、シュートをしても、どんどん点差は開いていった。
 早い段階から呼吸も乱れて先輩たちの足取りも重い。それでも、

「声出せっ!!」

 セイ先輩が叫び声をあげると、他の先輩たちも目一杯返事をしていた。
 ベンチでは力也たちが手を叩いて叫ぶ。
 点差が開いてほぼ負けが確定しても、先輩たちは全力でプレーを続けた。
 今日は俺も試合に集中して声を出して、スコアチェックもしつつ分析を進める。

「向こうのスリー結構当たってるな」
「はい。六番がもう三本連続インですね」

 先生と話しながらコートとスコアに集中していた。

「コタっ!」

 インからアウトの絶好のパス。
 それでも相手は素早く反応してきてセイ先輩はスリーからドリブルに切り替えて中へと切り込む。
 隙間を縫ってレイアップに向かったが、ボールははたき落とされてセイ先輩も強い当たりでコートの外に弾き飛ばされた。