男女共に一回戦突破。
 嬉しいはずなのに複雑な気もしてしまって、ただ自分自身が嫌になる。
 しかも、勝ったことで心配されたのは月曜日からのテスト週間。
 テスト週間は基本部活はないが、勝ち上がったため禁止にはならないらしく、先生と先輩たちは悩んでいた。

「俺も教師としては勉強を……と思うけどな。バスケをと思う気持ちもわかるから」

 先生はゆっくり俺たちを見て困ったように頬を掻く。だが、

「体育館は開けられますよね」
「あぁ」

 先生に確認するとセイ先輩はしっかり顔を上げた。

「テストを優先しよう。特に一年は。ユウとコタもお前らはテストに集中しろ」

 はっきり言ってからトモ先輩、ダイ先輩、ハナ先輩と目を合わせる。

「練習は自由だ。でも、体育館は一時間までにしよう。無理はしない。俺だって余裕はないし……な?」

 フッと力を抜いてセイ先輩は小首を傾げた。

「ただ、筋トレとハンドリングくらいは勉強の息抜きとしてやれるといいよな」
「さすがだよ」

 セイ先輩にトモ先輩が腕を伸ばして、気づくとみんなで肩を組みながら輪になっている。

「頑張るぞ!まずは勉強だけどバスケも!」
「結局どっちもじゃねぇか」
「そりゃ、セイだからな」

 しっかり決断する姿も、文句も出なくてみんなから笑って受け入れられることも……本当カッコ良すぎる。