「はいっ!仕上げ〜っ!」

 にこにこ笑う三木先輩が手にしている白いヒラヒラのモノを見てセイ先輩は必死に首を振る。

「なっ、何だそれっ!!」
「ん?ホワイトブリム!」
「はぁ!?」
「メイドと言えばコレでしょ〜?小嶋のは特別に作ったんだからね!」

 腰に手を当てて三木先輩がふんぞり返るが、

「脱ぐっ‼」

 セイ先輩には逆効果らしい。
 そりゃそうだ。
 男があんなヒラヒラなものを頭にまで乗せられるなんて……俺なら絶対に嫌だ。

「えー」

 頬を膨らませた三木先輩を睨みながら羽交い締めにしている俺から逃れようとするセイ先輩。
 俺は力を込めて離さずにっこりと笑った。

「先輩!キャプテンとして今日成功させる責任はあると思いませんか?」
「だからって!」
「完売したら脱いでもいいですよねぇ?」

 問うと、三木先輩と菊川先輩がコクコクと頷く。

「フザけ……」
「小嶋ぁ、かわいい女の子の格好してる男に告る女なんて居る?昨日のカッコよさから一転、そんな格好……ショックな子も居るんじゃない?」

 言われてセイ先輩が少し考えた。

「ほらぁ……自分よりイケメンの女に告りたい?」

 髪を掻き上げて三木先輩はスッと姿勢を正す。
 ヘアワックスで整えられた髪に黒いベストとクロスタイ。
 腰には黒のロングエプロンを巻いて立つ姿はかなり様になっていた。

「そもそも誰かに告ろうという概念がない」
「小嶋らしい回答だね〜ぇ」

 二人の会話に進展はなさそうで、ため息しか出ない。