隣の教室で調理しているセイ先輩と菊川先輩とハナ先輩が見える位置で、たまにそっちを気にしながら挟んであるプリントにも目を落とす。
綺麗な文字で書かれた的確な指示。
三木先輩の企みを成功させるために、下準備として生地は昨日一人で仕込んでいたのを知っている。
プリントを見つつこっちの教室の進み具合を確認すると、こっちはもう多くが飾り付けも終えて揃いのエプロンにクロスタイも着け終えていた。
「これは吉井くんの分ね!」
白井にエプロンとクロスタイを渡されてついじっとそのタイを見つめてしまう。
一緒に買い出しに行き、タイ作製の間はいつも隣に居た先輩。
半分以上、三木先輩とセイ先輩の話だったけどそれは楽しい時間でもあった。
「吉井くん?どうかした?」
下から覗き込まれてハッとする。
エプロンとタイを受け取ると、白井は「飲食スペース見てくるね!」と笑って走って行った。
一応白井は飲食スペースをメインで見てくれることになってはいるが……思いながら板を置いてとりあえずエプロンを身に着ける。
タイを手にとって昨日のハチマキを思い出していた。
だが、不意にさっきまで笑い声も聞こえてきていた隣から声が聞こえなくなって様子を窺う。
じっとセイ先輩を見上げている菊川先輩。
しかも、セイ先輩もしっかりと菊川先輩に向き直った。
この雰囲気って……
「うん、だから、後ではっきりフッて」
ーーー振る?
まさかの菊川先輩が眉を下げたままで微笑んだ。
綺麗な文字で書かれた的確な指示。
三木先輩の企みを成功させるために、下準備として生地は昨日一人で仕込んでいたのを知っている。
プリントを見つつこっちの教室の進み具合を確認すると、こっちはもう多くが飾り付けも終えて揃いのエプロンにクロスタイも着け終えていた。
「これは吉井くんの分ね!」
白井にエプロンとクロスタイを渡されてついじっとそのタイを見つめてしまう。
一緒に買い出しに行き、タイ作製の間はいつも隣に居た先輩。
半分以上、三木先輩とセイ先輩の話だったけどそれは楽しい時間でもあった。
「吉井くん?どうかした?」
下から覗き込まれてハッとする。
エプロンとタイを受け取ると、白井は「飲食スペース見てくるね!」と笑って走って行った。
一応白井は飲食スペースをメインで見てくれることになってはいるが……思いながら板を置いてとりあえずエプロンを身に着ける。
タイを手にとって昨日のハチマキを思い出していた。
だが、不意にさっきまで笑い声も聞こえてきていた隣から声が聞こえなくなって様子を窺う。
じっとセイ先輩を見上げている菊川先輩。
しかも、セイ先輩もしっかりと菊川先輩に向き直った。
この雰囲気って……
「うん、だから、後ではっきりフッて」
ーーー振る?
まさかの菊川先輩が眉を下げたままで微笑んだ。

