俺たち障害物リレーが退場すると同時に、部活対抗リレーの女子が入場していき競技が始まる。

「すいません!頑張って下さいね!」

 入場門まで走ってセイ先輩たちを見つけて、そこに菊川先輩が居ないことにホッとした。

「おう!俺もやっとこの部で役に立てるからなぁっ!」

 嬉しそうなヒサを見下ろして、俺はゆっくりメガネを上げる。

「ヒサ、持って走るのはバトン代わりのボールだけど、それは投げるのは禁止だからな。手渡しだけ気をつけて」

 ヒサはピッと背筋を伸ばすとコクリと頷いた。
 それを見て頼もしく思いながらその背中を軽く叩く。

「大丈夫!うちの男バスは実力もチームワークもあるから」
「ヨッシーぃ!それは微妙にプレッシャー!」

 トモ先輩が肩を落とすと、

「あ!女バスが走るぞ!」

 モト先輩がグラウンドを指さした。
 女バスはスタートも成功してトップで第二走者に辿り着いたが、走ってきたバレー部がぶつかってボールが転がってしまう。

「あぁ……一位だったのに」
「決勝行けるのは上位ニチームだよな?」

 モト先輩の嘆きを聞いてトモ先輩がセイ先輩に確認した。
 女バスの順位は現在六チーム中四位。
 第三走者の一年生も抜くことはできないままアンカーの三木先輩にボールは渡った。
 残り百メートル。
 一位のバドミントン部はもう最後のコーナーを曲がっていて厳しい。
 接戦でもある二位のバレー部とテニス部を抜けるかどうか。