「こんな感じで!今年は女バスも接客しようと思うんだ!」

 部活終わり、男バスと女バスでそのまま集まったのは澤田先生が開けてくれた化学準備室。
 セイ先輩は白シャツにエプロンとクロスタイを身に着けて、三木先輩もブラウスにワンピースみたいに見えるエプロンとクロスタイを着けてみんなの前に立っていた。

「男バスから調理に行くのもアリだからな」

 にこにこしながら軽く説明した三木先輩にセイ先輩が付け足すと、三木先輩の隣に居た菊川先輩が軽く手を挙げる。

 今回バスケ部はフードメニューだけ……というかクレープとワッフルのみにすること。
 いつものカフェにしない代わりに隣の学習室にベンチとかテーブルもいくつか置いて開放し、どこの部の食べ物も持ち寄れるようにすること。

 菊川先輩が説明して三木先輩を見てから一歩前に出る。

「この感じだと接客の人員も減らせるからみんなも自由に回って楽しめると思います!それに材料のコストも減る予定なんで、エプロンとタイが全員分揃えられる予定なんです」

 ざわつきはある。
 だが、三木先輩はそれを見て微笑んだ。

「お揃いの衣装で宣伝しつつ好きに遊んで!交代で少し店番はあるけど、去年より他も色々楽しんで欲しいの!何より……」

 言いながら三木先輩はセイ先輩の背後に回ってその背中を押す。

「全員お揃いで!ってわくわくしない?」
「しますっ!!」

 目をキラキラさせて立ち上がったトモ先輩。
 俺は前で話す先輩たちをただ少し離れて見ていることしかできなかった。