翌日。

「吉井くん」

 また?と思うと、今日は菊川先輩だけだった。

「この後って時間ない?」
「ありますよ?」

 食い気味に答えそうになるのを何とか堪える。

「なら相談……いい?」

 身長差のせいで下から見上げてくるような先輩の姿にグッときてしまった。
 頷きつつ、先輩の手にはノートがあることに気付く。
 学校祭の話、それはわかるが先輩と一緒に居られることが何より嬉しかった。



 
 急いで片付けて、先輩に言われた図書室にやって来る。

「失礼します」

 ドアを開けると、すぐのテーブルに居た先輩が顔を上げた。

「図書室で話し合いとかできるんですか?」
「だから、ここ。近いとこ座って」

 小声で聞くと、先輩は隣の席のイスを出して座るように指示してくる。
 そんな触れるような距離なんて……戸惑いつつイスを少しズラして座ると、先輩がこっちに身を乗り出してきた。

「去年と予算は一緒だけど、男バスも?」
「は、はい」

 そんなの近すぎて話なんてまともにできる気がしない。
 何とか俺もノートを開くフリをして気を紛らわせるが、腕に先輩の腕が当たる。
 しかも、膝が近い。

「……聞いてる?」

 聞いてませんっ!!なんて答えられず、こくこくと頷く。
 体育祭と文化祭の確認……色んな意味でドキドキだ。