「モト先輩は今もバスケやって走ってんだから確定だろ?でも、今年、お前はキャプテンだから、あとは二年誰出すか……なんて他居ねぇだろ?」
「そうだけど……」
「何だよ」

 ダイ先輩が聞いてもセイ先輩は口を開かない。

「……俺、アンカーってガラじゃないだろ」

 ダイ先輩がコートに戻って行った後、ぽつりと呟いたその顔は自信無さげで、

「大丈夫ですよ」

 じっとその目を見ると、先輩は小さく肩を竦めた。

「……今年、ユニフォームは男バス(こっち)淡色(しろ)と伺ってますが」

 うまい言葉が出なくて話を変える。
 例年、男バスが濃色(くろ)で女バスが淡色(しろ)なのだが、今年は変更すると菊川先輩から聞いていたからだ。
 決定したのならば男バスは走順で番号も決まっていて、七、六、五、四と繋ぐらしいので部室で確認しないといけないだろう。

「あぁ、『だって白はブラ透けるじゃん!』だと」
「は?ブ、ラ?」
「な、意味わかんね」

 菊川先輩からはセイ先輩と話し合ったと聞いていたのだが、ちょっとニュアンスは違うようだ。
 しかも、そんな理由とは……。

「文化祭の方も色々イジるらしいから……女バス(あっち)のマネに確認した方がいいかもしれん」
「例年はこうだと聞いてますが?」

 メモを見せると、セイ先輩は「……な」とだけ言ってため息を吐く。

「あー、時間だな……やるぞっ!」

 グッと伸びてエンドラインへと向かった先輩を見て、俺もペンを置いてサイドラインに立った。
 菊川先輩からセイ先輩と話し合ったって聞いて内心ざわついたのだが、先輩たちの距離はまだ縮まってはいないらしい。