夏休み明けにはすぐに体育祭があって、次の日は文化祭がある。
 勉強もかなりの量で課題も多いのに、イベントもやたら力が入っているのは辛い。
 宿泊学習を終えてすぐ澤田先生に体育祭の部活対抗リレーのメンバー選出を言われたらしいセイ先輩に相談されて、俺は菊川先輩から預かっていたノートと自分のノートを開いた。

 学校祭は一番盛り上がるイベントで、その初日の体育祭で行われる部活対抗リレーは運動部はかなりガチの戦いを繰り広げる。
 バトンはそれぞれの競技で使うもので、大抵どの部もボールだが、剣道や弓道などは長さが制限されていて小手や弓かけ(弓を引く際に右手を保護するための道具)をバトンにしていることが多い。
 しかも、それぞれユニフォームで走るので剣道部なんかは竹刀も持って袴に面まで着けた防具姿で走る……らしい。

 ノートを預かってザッと読んでから俺も少しまとめたが、やはりそれは大体の流れを掴んでいただけだ。

「悪いな」
「いえ」

 部活対抗リレーは各学年一人とキャプテンの計四人が走る。
 その一年にヒサを薦めておくと、セイ先輩はメモをしてコートに目をやった。

「真剣な話か?」

 ダイ先輩がタオルを取りにやって来て、セイ先輩は無言でプリントを見せる。

「一走、ヒサ。二走……トモ。三走、モト先輩。アンカー、お前だろ?」

 ダイ先輩は二走だけコートを見て少し迷ったものの、あとはスラスラと口にした。