そうして結局、先輩たちの居ない五日間はずっと俺がキャプテン代理を務めた。

「あ、ヨッシー。お疲れ」

 鍵を返しに来た俺は職員室から出て来たセイ先輩を目の前にして慌てて頭を下げる。

「俺らが居ない間、キャプテンもやってくれてたってな!ありがとな」

 背中を軽く叩かれて思わずセイ先輩をじっと見てしまった。

「何?」
「いや……」

 いくら気になっているからといってセイ先輩に宿泊学習とか菊川先輩のことを聞くなんてできない。
 まして、そんな話をしてそれがきっかけで二人が仲良くなったら……立ち直れない気がする。
 過去に経験した苦い思い出が蘇ってグッと言葉を飲み込んだ。

「お前、この後何かある?」
「いえ、特には……」
「じゃあ、ちょっと付き合わないか?」
「はい?」

 ふわりと笑われて驚く。
 セイ先輩がこんは風に笑うなんて……普段の部活着とは違う制服姿だからだろうか。
 印象がちょっと違う気がする。

「じゃあ、自転車んとこ居るな」

 肩にかばんを背負い直して歩いていく先輩を見送ってから、俺も職員室に入った。