制服に黒いエプロンを巻いた菊川先輩と三木先輩の写真。
 女バスメンバーでの写真。
 クレープを持つ菊川先輩と三木先輩の後ろにトモ先輩、ダイ先輩、セイ先輩が居る写真。

「同じエプロンですか?」

 どう考えたってそこに俺は居る訳がないのにモヤモヤしてしまう。

「そう!文化祭は毎年男バスと女バスで一緒にクレープ作って売るのよ!」

 笑顔の菊川先輩を見ていられなくて俺はノートに目を移した。

「宿泊学習で時間があったら少し二年でも話してくるけどね!」

 もちろんそこにも俺は行けないし、何となく隔たりを感じてしまう。
 そこで男バスと女バスが集まって親密になったりするのだろうか?
 何かイベントがあって距離が縮まることもあるのだろうか?
 考えたらキリがない。
 経験もどんなイベントなのかもわからない俺はモヤモヤしながらも、ただ先輩の説明に頷くことしかできなかった。

「ん?何の話?」

 お茶を飲みに来たらしいトモ先輩が入って来て、

「宿泊学習。メインは学校祭」
「フリータイムとか最終日のカレー作り楽しみだよなぁ!学校祭も今年も女バスと合同だろ?」
「そのつもり」

 フリータイムやカレー作りなんて……しかも、やっぱり楽しみなイベントだなんて。
 菊川先輩に彼氏ができて帰ってきたら……悪い想像はため息と共に吐き出してしまいたかった。