朝練を終えて同じクラスの俺と力也、ヒサ、クロは共に教室へと向かう。

「あれ?今日って単語テストの日だっけ?」
「そーだな」

 結んだばかりのネクタイを緩めながらあくびをしたヒサにクロが頷いて、英語のプリントをぶつけた。

「覚えた?」
「うん」
「余裕」

 ヒサが俺たちを見て、クロ、力也と答えてみんなの目がこっちを向く。

「……まぁ」

 言葉を濁すと、力也は俺の肩に腕を回してきてニシシっと笑った。

「自信ねぇの?」
「百問だぞ!?しかもそんなしょっちゅう新しく覚えていけるかよ!!」
「いや、余裕じゃね?」
「お前はな」

 中学の頃から英語は学年一位の奴と一緒にされては困る。
 この間の中間だって、期末だって……高校に入っても力也は英語は学年順位も一桁だったんだから。

「いや、百問これが出るって言われてんだから覚えるだけじゃん?」
「じゃあ、漢字これが出るって百問やられたらできるんだな」
「それは(へん)(つくり)とか……色々複雑じゃん?」

 力也が苦手な漢字で聞いてやると勢いは一気に落ちる。

「英単語だって綴り複雑だろうが!!」
「……そう?」

 どの教科だって必死に詰め込んでいる俺は一つだって気が抜けないのに、こいつは……。

「まぁまぁ!いっつもバスケ教えてもらってる代わりに数学は俺も教えるしさ!な?」
「ん。俺、国語。リキ、英語。モモ、社会。アキ、理科な」

 男バスにはどの教科も学年一桁が居るとか。
 学年半分以下は俺だけなんてちょっとおもしろくない。