朝練はバド部が練習しないから、と交渉して譲ってもらったらしい女バスが更衣室に近い一面を使って、男バスはステージ側を使う。
だからか、コートが見えるように立っている俺は体育館全体が目に入って、当然菊川先輩もよく見えた。
先輩も俺のちょうど対になる位置に居るということはあっちも同じように見えているのだろう。
ノートから顔を上げると先輩の姿が目に入って、コート内でパス出しをして戻ってきつつステージに背をついて汗を拭いているとまた先輩がよく見えた。
その度に嬉しくなって緩んでしまう口元をとりあえずノートで隠す。
男バスの練習を追いながらやっぱりたまに菊川先輩を見てしまって。
でも、だからこそ気づくこともある。
確かに先輩は男バスをちょいちょい見ている気がする。
女バスの練習の先にある男バスを。
でも、それは《《俺ではない》》。
俺が意識して見てみると、朝練は特に目が合わないから。
そして、夕練で目が合う気がした時も……その目はたぶん俺ではなく、俺の後ろに居る《《あの人》》を見ている。
「ヤベ……」
思わず呟くと、ちょうどタオルを取りに来た力也が不思議そうに首を傾げた。
「何?」
「……いや」
「それ何でもねぇやつだろ?」
本当、力也のこういうとこに俺はいつも救われている。
だからか、コートが見えるように立っている俺は体育館全体が目に入って、当然菊川先輩もよく見えた。
先輩も俺のちょうど対になる位置に居るということはあっちも同じように見えているのだろう。
ノートから顔を上げると先輩の姿が目に入って、コート内でパス出しをして戻ってきつつステージに背をついて汗を拭いているとまた先輩がよく見えた。
その度に嬉しくなって緩んでしまう口元をとりあえずノートで隠す。
男バスの練習を追いながらやっぱりたまに菊川先輩を見てしまって。
でも、だからこそ気づくこともある。
確かに先輩は男バスをちょいちょい見ている気がする。
女バスの練習の先にある男バスを。
でも、それは《《俺ではない》》。
俺が意識して見てみると、朝練は特に目が合わないから。
そして、夕練で目が合う気がした時も……その目はたぶん俺ではなく、俺の後ろに居る《《あの人》》を見ている。
「ヤベ……」
思わず呟くと、ちょうどタオルを取りに来た力也が不思議そうに首を傾げた。
「何?」
「……いや」
「それ何でもねぇやつだろ?」
本当、力也のこういうとこに俺はいつも救われている。

