「……何であんな際どい」

 中央へと歩いて行く先輩の後ろ姿を見て呻く。
 後ろから見たらお尻の部分にかなりミニの黒と紫のスカートがあるのみにしか見えない。
 しかも、短過ぎて歩いて行くだけでピラピラ捲れてドキッとする。
 横もなぜ肌色にする必要がある!?あんなの……。
 髪を掻き乱していると、

「大丈夫?」

 くすくすと笑っている先生が居た。

「あっ、やっ!!だ、大丈夫です!」

 あり得ないくらいキョドってしまって誤魔化しも効かない。

「あははっ!ドキドキしちゃった?でも、ちゃんと見てあげてね!マサをやる気にしてくれたキミには感謝してるからさ!」

 バチンと背中を叩かれて呻く。
 力加減をしてくれなかったお陰でヒリヒリと痛い。
 その間に先輩はテープで仕切られたその縁に立った。

「プログラムのラスト、うちの教室の卒業生で今回の発表会も練習からずっとお手伝いをしてくれたコーチ、菊川政子によりますクラブのデモ演技です」

 マイクを持った先生が告げると、大きな拍手に包まれる。
 ピンと爪先立ちをした先輩はスッと背筋を伸ばしてそのテープの中に入った。
 踵は一度も付けることなく中央からやや左に寄ると足を伸ばしたままクロスして右腕を真っ直ぐ上げる。
 左腕は少し横に開いて右手に持ったクラブが左肘に当たるところで止めた。
 あの体勢だけでも俺は無理だ。