「あの碧眼美人のアリスちゃんといつも一緒なのに見劣りどころか、純和風美人で引き立て合ってんじゃん!」

 あまりにもの力説具合に俺も力也も何と言ったらいいのかわからない。

「スラッとした長身の異国美人と小さいのに胸はデカい黒髪美人でうちの学年のツートップだぞ!」

 胸はデカい、はちょっと引っ掛かったが、ツートップ……。
 グッと握られたトモ先輩の拳はかなり力が入っているように見えた。

「アリスちゃんはまだ親しみやすくてしゃべったりもするけど、菊川はいっつもクールでかなりミステリアスだしさぁ!」

 確かに普段の先輩は目が合ったら凍るんじゃないか?と思うくらいにこりともしない。
 それがフニャンと崩れるあの瞬間が堪らないんだが……それは口にしたくなかった。

「ヨッシーも冷静沈着でそつなく何でもやるロボみてぇじゃん!あ、褒めてるよ?」
「ロボっ!!」

 吹き出してゲラゲラ笑う力也を一睨みしてメガネを上げると、トモ先輩は口元に手をやって近づいてきた。

「本当に付き合ってんのか?」

 ボリュームを下げられた声に頷くと、その目が見開かれる。

「え、デートしたり、甘〜い雰囲気でキスしたりすんの!?っ、痛ってぇっ!!」
「またくだらないことを」
「健全な男子の気になる恋の話だろーがっ!!」

 バチンとセイ先輩がトモ先輩の後頭部を叩いて、トモ先輩が頭を押さえて喚き出した。

「……すんの?」

 それを見て力也に聞かれる。

「さぁな?」

 そんなの想像にお任せで十分だ。