それから朝練では少し姿も見られたが、夕練には先輩は来なくなって一緒にも帰れなくなった。
 正直、寂しい。
 先輩自身の練習もだが、発表会をするメインの幼稚園児や小、中学生のレッスンでも練習の手伝いをしていて先輩とは毎日会えない日々。
 不意に先輩は今どうしているか?なんて考えてしまって寂しさが募った。

「……会いたい」
「はいはい」

 パシパシと雑に背中を叩かれて顔を上げる。
 すると、コップに口をつけて飲みながら適当に俺を慰めてくる力也と目が合った。
 ヘラッと笑うと力也はコップを置いて伸びをする。

「流星、三ヶ月もすれば先輩たちは引退ってわかってるか?」
「引、退……」
「あぁ、そうしたら毎日こうだぞ?ってか、朝練も来ないしな」

 サラッと言われて一瞬意味がわからなかった。
 毎日こう……どころか朝練も来ないなんて。
 シャーペンを握ったまま固まる。

「何、何?どった?」

 笑顔のトモ先輩が走ってきて力也と話し出した。
 それさえ聞いていられない。

「だから、男バスも女バスも勝ち残って一日でも長く!だろ?」

 腰を叩かれてトモ先輩を見ると、先輩はニコニコ笑って親指を立てた。

「でも、ヨッシーと菊川が付き合ってるとか……意外だわ」
「そうですか?」

 力也がキョトンとして聞くと、トモ先輩はチラッと女バスの方のコートを見る。