「反対からダイ先輩が来た場合だって力也が合わせることもあるだろ?」
「あーもーわっかんねぇよ!!」

 混乱したらしい力也が喚いてボールを手繰り寄せた。
 中学までもC(センター)として合わせてきたんだからできるだろうに、頭で考え過ぎるらしく力也はたまにこうなる。

「ゴール下なんて相当パターンあるんだからどれでも対応できるように常にポジション確認してゴールは狙ってくんだよ」
「ちょ、相手して」
「ったく……」

 休憩中もそうやって少しバスケをやることが増えた。
 次は勝ちたい。その気持ちが見えて嬉しいが休憩はちゃんとさせたい。

「セイ先輩、次のスリーメンからの三対二は少し攻めパターンも確認して最初のうちはゆっくりやりませんか?」
「そうだな。そろそろ先生も来るだろうし……様子見てやるか?」

 次確認できるようにして休ませる。なのに、

「はーぁ、クリスマスが終わったら正月で、正月終わったらバレンタイン?」
「彼女なしには寂しい季節だな」

 力也とヒサにこっちを見られて聞かなかったことにした。

「で?流星のご予定は?」

 ニヤニヤ笑われても無視を通す。

「セイ先輩、そろそろ時間です」
「だな、スリーメンからの三対二!少しゆっくりにして攻め方確認しながらやるぞ!」

 理解してくれたらしいセイ先輩が早めに練習を再開してくれて、膨れた力也たちもそのまま練習に戻っていった。