掛けてあったタイマーが鳴って、
「うぇ〜い!勝ちー!」
リョウ先輩が両手を突き上げて飛び跳ねると、ウエ先輩がコートに倒れ込む。
「上松ぅ!動いてなさ過ぎじゃねぇのー?」
「うるせぇ!お前だって、ほぼ何もしてねぇだろ!」
言い合う先輩たちを横目に俺と力也は端に腰を下ろして水分を摂っていた。
正直、俺だって普段はマネージャーでプレーもほとんどしていないため息が苦しいし、冬場は普通にしているだけでも右肩の関節が軋んで痛むためバスケをするのはキツい。
でも、このまま帰ってもあれこれ考え込むだけな気がして、そういう意味では助かったとも思った。
「何か元気なくね?」
相変わらず鋭い力也に顔を覗かれて思わず姿勢を正す。
「……お前ってマジで何者?」
「はぁ?何言ってんだよ?」
聞くと力也は眉を寄せた。
転がっているボールに触れてポンッと手の中に収める。
「最近、菊川先輩ってよく笑うようになったよな」
「は?」
クルクルと指先で回るそのボールなんて見ている場合ではなくなって隣にいる力也を見ると、力也は更に回転させながら口を開いた。
「楽しそうって言うの?前までは美人だけど近寄り難いってか冷たい印象だったけど、最近はお前と笑ってるのをよく見るからかな?怖くない」
ボールを止めると力也はニィッと歯を見せる。
「更にいい雰囲気に見えるけど?」
「……だといいんだけどなぁ」
どうにも踏み込めないのはまだ菊川先輩の中にセイ先輩が燻っているからだ。
「うぇ〜い!勝ちー!」
リョウ先輩が両手を突き上げて飛び跳ねると、ウエ先輩がコートに倒れ込む。
「上松ぅ!動いてなさ過ぎじゃねぇのー?」
「うるせぇ!お前だって、ほぼ何もしてねぇだろ!」
言い合う先輩たちを横目に俺と力也は端に腰を下ろして水分を摂っていた。
正直、俺だって普段はマネージャーでプレーもほとんどしていないため息が苦しいし、冬場は普通にしているだけでも右肩の関節が軋んで痛むためバスケをするのはキツい。
でも、このまま帰ってもあれこれ考え込むだけな気がして、そういう意味では助かったとも思った。
「何か元気なくね?」
相変わらず鋭い力也に顔を覗かれて思わず姿勢を正す。
「……お前ってマジで何者?」
「はぁ?何言ってんだよ?」
聞くと力也は眉を寄せた。
転がっているボールに触れてポンッと手の中に収める。
「最近、菊川先輩ってよく笑うようになったよな」
「は?」
クルクルと指先で回るそのボールなんて見ている場合ではなくなって隣にいる力也を見ると、力也は更に回転させながら口を開いた。
「楽しそうって言うの?前までは美人だけど近寄り難いってか冷たい印象だったけど、最近はお前と笑ってるのをよく見るからかな?怖くない」
ボールを止めると力也はニィッと歯を見せる。
「更にいい雰囲気に見えるけど?」
「……だといいんだけどなぁ」
どうにも踏み込めないのはまだ菊川先輩の中にセイ先輩が燻っているからだ。

