「俺らはメールとかやり取りしないし、基本会いにも行かない。正直、好きか?って聞かれたら……わからないんだ。きっと居ないなら居ないで俺も三木も平気だから」

 セイ先輩が口を開くと、菊川先輩はギュッと三木先輩の腕に置いた手に力を入れる。
 三木先輩は何も言わなかった。

「でもな、居るならちゃんと寄り添っていたいんだよ。不思議なほどこいつの傍は落ち着くから」

 フッと口元を緩めるセイ先輩を見た三木先輩もふわりと笑う。

「……何それ」

 菊川先輩はゆっくり三木先輩から離れてため息を吐いた。
 そして、クルッと背を向けてからもう一度大きなため息を吐く。

「それで二人はお互い好きではないって?」
「好きじゃないっていうか……」
「なぁ?」

 目を合わせて先輩たちが曖昧に笑うと、チラッと少し振り返った菊川先輩はガックリと項垂れた。

「アホらし……」
「え?」
「は?」
「フリって言いつつも結局両想いなんでしょ?」

 呆れたような菊川先輩に言われて、二人は黙って顔を見合わせた。

「……そうなの?」
「……わからない」

 困惑する先輩たちを見て、菊川先輩は額に手をついて大袈裟に息を吐き出す。

「そもそもフリでさえ、ミキも小嶋くんも面倒なタイプでしょ?それにミキは他の人には頼まなかったし、小嶋くんもミキじゃなかったら引き受けてないでしょ?」

 確かに……と頷く二人を見て菊川先輩は笑いながらグッと大きく伸びをした。