冬休みはほぼ男バスと女バスの練習時間はズレていたが同じになった日、
「小嶋くん!ちょっと……」
菊川先輩は部活の練習を終えてすぐセイ先輩を呼び出していた。
セイ先輩はタオルを肩に掛けて汗を拭きながら菊川先輩について体育館から外に出て行く。
格子になっているドア付近に居た俺からは出てすぐのたった三段の階段に腰掛ける菊川先輩と、側にある下駄箱に凭れ掛かったセイ先輩が見えた。
会話は途切れ途切れしか聞こえずもどかしいが、堂々と盗み聞きするわけにもいかない。
「ミキとは本当にフリ?お互い告られるのが煩わしいから?」
でも、そんな言葉が聞こえてきて運ぼうとしたボールを持って足を動かせなくなった。
「私を諦めさせたいから?」
「……三木がめちゃくちゃなこと言い出したの一緒に聞いてただろ?」
「じゃあ、フリ……なんだよね?」
菊川先輩が少しだけホッとしたのを感じる。だが、
「止めなよ。そんなの!」
切ない声が聞こえてきた。
「フリなんてして何の意味があるの?それでもミキは告られてるし、小嶋くんは聞かれなくてもいいことまで色々聞かれてるだけじゃないの!?」
確かにそうではある。
フリなんて面倒なことしていないで、セイ先輩と三木先輩が付き合ってくれれば……俺はそう思っている。
まぁ、そうなったら菊川先輩はセイ先輩への微かな望みさえなくなるんだが。
「小嶋くん!ちょっと……」
菊川先輩は部活の練習を終えてすぐセイ先輩を呼び出していた。
セイ先輩はタオルを肩に掛けて汗を拭きながら菊川先輩について体育館から外に出て行く。
格子になっているドア付近に居た俺からは出てすぐのたった三段の階段に腰掛ける菊川先輩と、側にある下駄箱に凭れ掛かったセイ先輩が見えた。
会話は途切れ途切れしか聞こえずもどかしいが、堂々と盗み聞きするわけにもいかない。
「ミキとは本当にフリ?お互い告られるのが煩わしいから?」
でも、そんな言葉が聞こえてきて運ぼうとしたボールを持って足を動かせなくなった。
「私を諦めさせたいから?」
「……三木がめちゃくちゃなこと言い出したの一緒に聞いてただろ?」
「じゃあ、フリ……なんだよね?」
菊川先輩が少しだけホッとしたのを感じる。だが、
「止めなよ。そんなの!」
切ない声が聞こえてきた。
「フリなんてして何の意味があるの?それでもミキは告られてるし、小嶋くんは聞かれなくてもいいことまで色々聞かれてるだけじゃないの!?」
確かにそうではある。
フリなんて面倒なことしていないで、セイ先輩と三木先輩が付き合ってくれれば……俺はそう思っている。
まぁ、そうなったら菊川先輩はセイ先輩への微かな望みさえなくなるんだが。

